安藤税理士法人の加藤です。個人でも法人でも、消費税の課税事業者となった場合には預かった消費税と支払った消費税を計算する必要があります。
経理処理の方法には税抜経理と税込経理があり、任意に選択することができます。免税事業者は税込経理しか選択することはできません。
主な違いは以下の通りです。
・交際費
交際費は損金の額に算入できる限度額が定められており、その金額を超えるかどうかの判定は経理処理の方法に準ずることになります。税抜経理なら税抜の金額で、税込経理なら税込の金額で判定を行います。したがってこの場合は税抜経理が有利です。
・少額減価償却資産の判定
減価償却資産となる固定資産は、一定の金額未満などの要件を満たせば一時の損金とすることができますがこの金額の判定においても、その経理処理の方法に準ずることになり、税抜経理が有利になります。
・月次利益
税込経理で月次決算を行っている場合、利益額に消費税が含まれているため実際よりも大きな利益の金額が出ます。決算を組んだ時に当期の消費税額を一気に計上すると、月次の利益からかけ離れた数値が出てしまい、月次を行う意味が薄れてしまいます。そうならないように、毎月一定の見積額を計上しておく必要があります。
税抜経理の場合は、貸借対照表の「仮受消費税等」から「仮払消費税等」を差し引くことでおおよその税額が計算できます。
このように、一般的には税抜経理の方が有利と言われています。
手計算を行うと税抜経理の方が複雑で仕訳数も多くなりますが、会計ソフトを利用すれば入力の手間は同じです。どちらを選択しても最終的な利益の額や消費税の納税額が変わることもありません。