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2016.12.19
スタッフブログ
出向と派遣の税務

安藤税理士法人の加藤です。最近ではノマドと呼ばれるフリーランスとしての働き方を選択する人が目立つようになるなど、仕事のやり方もますます多様化してきています。会社においても、元来固定費としての性格が非常に強い人件費の流動化が進んでおり、会社の従業員を自社ではなく、契約によって出向や派遣など、他の会社で就労を行わせるという形態もどんどん進んできていると感じています。

この出向と派遣は、元の会社に在籍しながら他の会社で働くという点で共通しており一見似通っているように思えますが、実際は全くの別物で税務上においても違いが見られます。

まず、出向と派遣の違いは、出向先又は派遣先に労働契約と指揮命令関係があるかないかによって判断します。

出向の場合には労働契約と指揮命令関係が出向先にあるのに対し、派遣の場合には、労働契約は派遣元ですが指揮命令関係は派遣先にあります。業務を行う側に指揮命令関係があるのは共通していますが、労働契約の相手先が異なります。

これを踏まえて今回は、給与の負担金における消費税の取扱いに着目して紹介します。

1.出向の場合

事業者が事業として他の者から役務の提供を受けた場合は、課税仕入れに該当しますが、その役務の提供が雇用契約に基づくものであり、その支払った対価が給与所得となる場合には、課税仕入れには該当しません。

したがって、従業員を子会社や関連会社に出向させる場合、出向者に対する給与の負担方法には次のようなものがありますが、いずれの方法であっても、給与負担金について課税関係は生じません。

(1) 出向元が給料の全額を支払い、その一部を出向先に請求する方法

(2) 出向先が給料の全額を支払い、その一部を出向元に請求する方法

(3) 出向元と出向先がそれぞれ給料の一部を支払う方法

 

2.派遣の場合

人材派遣は通常、契約に基づき派遣会社が従業員を他の会社に派遣するものをいい、出向の場合と異なり、派遣された従業員の雇用関係は人材派遣会社との間にしかありません。

したがって、派遣先の会社に対する役務の提供ということになるため、人材派遣会社が受け取る人材派遣の対価は消費税の課税対象となり、支払った会社の方では課税仕入れとなります。

 

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