安藤税理士法人の土屋です。平成27年度税制改正法案によると、現行の「財産及び債務の明細書」が見直され、「財産債務調書」という名称に変更されるそうです。
「財産及び債務の明細書」とは、個人の所有する財産の種類・数量・価額を記載した書面で、確定申告の際に添付するものです。さきの平成26年分確定申告まで、所得金額が2千万円を超える人全員に提出が義務付けられていました。
経常的に所得が2千万円を超えるような人は、毎年この明細書を提出しているので忘れることは少ないと思います。しかし土地の売却等でその年だけ高額な所得が出た場合、明細書の添付を忘れたり、そもそも存在を知らなかったりして、提出せずに確定申告を終えてしまう人が大変多いです。
実はこの明細書、たとえ未提出でも記載が誤りでも、罰則規定はありません。今の状態だと制度として充分機能しているとは言えないかもしれません。対象者に対し、実際の提出者は半数以下だそうです。
これが改正により「財産債務調書」に変わります。
具体的な変更点としては、対象者が「所得2千万円超」かつ「総資産3億円以上、もしくは有価証券1億円以上」の人に限られます。また記載事項に、財産の所在や有価証券の銘柄等が加わります。
さらに、将来もし所得税や相続税の過少申告加算税が課された場合、調書の記載内容に応じて加算税が加重・軽減されます。
つまり、対象者の範囲は狭くなりますが、より具体的で正確な書面の提出を求められるようになります。該当する方は、資産の詳細を再度確認する必要がありますのでご注意ください。