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2024.9.30
税務トピックス
節税を兼ねた退職金積立制度「小規模企業共済」とは?

◎節税を兼ねた退職金積立制度「小規模企業共済」とは?

個人事業主や小規模法人の役員の方にとって、自分自身の退職金を準備することは非常に難しいことです。自社内で退職金制度を整備する余裕がなかったり、自らへの退職金支払いが認められない場合も少なくありません。そんな方にとって、「小規模企業共済制度」は強力な味方となる制度です。

 

・小規模企業共済制度とは?
この制度は簡単に言うと、「自分の退職金を自分で積み立てる」仕組みです。対象となるのは、従業員数20人(商業やサービス業では5人)以下の小規模法人の役員や個人事業主(共同経営者や配偶者・後継者も対象)で、加入者が毎月掛金を積み立てることで将来の退職金を準備します。

積立金は所得控除の対象となり、掛金分がその年の所得から差し引かれるため、所得税や住民税を大幅に軽減できるメリットがあります。いわば「貯金が節税になる」という仕組みです。掛金は月額1,000円から最大70,000円(500円単位で選択可能)で、無理のない範囲で積立を始められる点も特徴です。

 

・なぜ「小規模企業共済」が優れているのか?
通常の貯金や自己資金の積立は、将来的な資産形成には有用ですが、所得控除の対象とはならないため、節税効果が得られません。しかし、この共済制度では積み立てた金額が所得控除の対象となるため、毎年の税負担を減らしながら老後の資金を積み立てることが可能です。また、低金利での貸付制度を利用できる点も、この制度の魅力です。

 

・利用する際の注意点
この制度は長期にわたり積み立てることで真価を発揮するため、短期間での解約は注意が必要です。加入後1年未満の任意解約では掛金が返還されず、20年未満での任意解約は元本割れのリスクがあります。ただし、廃業時には元本割れのリスクがなく、しっかり積み立てた資金を受け取ることができます。

また、受取時には「退職所得」として一括受取が可能で、この場合「退職所得控除」が適用されるため税負担を大幅に軽減できます。分割受取の場合も「公的年金等控除」の対象となり、税制面での優遇措置を受けられるため、将来にわたる節税メリットを享受できます。

 

・メリットとデメリットまとめ
<メリット>

掛金全額が所得控除対象。所得税・住民税の負担を軽減。
受取時に税制優遇措置がある。退職所得控除や公的年金等控除が適用される。

<デメリット>

12カ月未満の掛捨てリスク。特定の条件を満たさない解約は、掛金が返還されません。
長期間の積立が求められるため、将来的な資金計画が重要。

将来に向けて、無理なく長期的に積立を行い、退職時の資金を確保する一方で、節税も実現する「小規模企業共済」。ぜひ、選択肢の一つとしてご検討ください。

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