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2025.11.1
財務改善・財務分析
社会保険料が高すぎると感じたら─中小企業のための賢い見直し術

「社会保険料が年々重く感じる」そんな声を多くの中小企業経営者から耳にします。人を雇う上で避けて通れない社会保険料ですが、制度を正しく理解し、設計を工夫することで、過度な負担を避けることができます。

 

まず押さえておきたいのは、社会保険料は給与水準に応じて決まるという点です。毎年4〜6月に支給した給与の平均額をもとに「標準報酬月額」が決定され、それに基づき1年間の保険料が算出されます。この時期に手当や残業代が多くなると、それが反映されて保険料が上がる可能性があります。昇給や手当の支給タイミングは、可能であれば7月以降にずらすなど、計画的な運用が有効です。

 

また、給与や賞与、各種手当の“名目”にも注意が必要です。定期的に支払われる手当(住宅手当、役職手当など)は原則として保険料の対象になります。一方、業務に直接関係しない一時的な支出(出張旅費や慶弔金など)は除外される場合があります。内容と支給方法を見直すことで、法令の範囲内で適正化を図ることができます。

 

さらに、採用・退職や雇用形態も保険料に影響します。パートタイマーでも所定労働時間が一定以上あれば社保加入義務が発生しますし、退職日によってはその月の保険料の支払い義務があるため、タイミングの調整も実務上は重要です。契約社員や業務委託の活用も一つの方法ですが、労務リスクを考慮して慎重に判断しましょう。

 

ただし、社会保険料の見直しは「削減」が目的ではなく「適正化」がポイントです。従業員の安心や満足度を損なわずに制度を運用することが、結果的に企業の信頼性や定着率の向上にもつながります。福利厚生制度の工夫や、助成金の活用も検討するとよいでしょう。

 

最後に、経営者自身の報酬設計にも見直しの余地があります。役員賞与については「事前確定届出給与」の制度を活用すれば損金算入が可能になりますが、届け出の厳格なルールには注意が必要です。役員報酬の金額や支給方法を工夫することで、社会保険料と税負担のバランスを整えることが可能です。

 

社会保険制度は複雑ですが、正しい知識とちょっとした工夫で、経営への影響を軽減できます。気になる点があれば、ぜひお気軽にご相談ください。

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