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2017.9.11
スタッフブログ
独身税が話題になっています

安藤税理士法人の加藤です。石川県の地元紙「北國新聞」で報じられたニュースがきっかけで、独身税が大きな話題を呼んでいます。記事を読むと、独身税の要望や導入について具体的な話が出たわけではなく、意見交換会に出た発言の一部がピックアップされ、それが拡散したようです。しかし、SNSなどのネット上では独身税の是非をめぐって激しい議論が起きています。

独身税とは読んで字のごとく、独身者に対して税負担を課すものですが、仮に導入が検討されるとした場合のメリットや問題点はどうなるのか、考察してみます。

<メリット>

・晩婚化や少子化の歯止めとして、独身者の結婚への意識を高めることができる。

・子育て世帯の経済的負担を考慮し、独身者へ税負担を求め、その税収を子育て支援に充てることで課税の公平性の実現に近づく可能性がある。

・導入されなかったとしても、議論を通じて税制の原則である「課税の公平性」や「担税力に応じた課税」について、考える機会になる。

<問題点>

・独身と一口に言っても、未婚者や離婚者、未亡人と様々で、一括りに課税するのは公平性に欠けてしまう。そのためあらゆるパターンに応じた細かい規定が必要になるが、あまりに複雑だと自分への課税額の検討がつかなくなってしまい、税制への不満や納税の抵抗感が増す恐れがある。

・経済的な不安から独身である者については、課税によりさらに結婚から遠ざかってしまい、メリットがそのまま逆効果になる。

・税額が高額な場合は偽装結婚の助長につながる上に、結婚への強制感が高まり憲法第24条に掲げる「婚姻の自由」に抵触する可能性がある。逆に低額な場合には、結婚への後押しの効果は弱くなる。

・所得税の扶養者控除や、自治体によっては補助金制度があり、既に子育て世帯に対する政策は導入されている。課税はあくまで担税力によるものなので、独身だからという理由での課税は果たして公平なのかどうか疑問が残る。

・上記の理由から誰に対して、何を基準に、いくら課税するのかを整備するのは困難であり、誰もが納得いく仕組みを作らない限りは反対意見が大多数を占めることが予想される。

<まとめ>

やはり、現状ではどういった課税を行うのか整備するハードルがあまりにも高く、「独身税という発想は理解できるが、近いうちの導入は現実的ではない」というのが正直な感想です。しかし、独身税ではないにせよ、出産や婚姻率低下への対策として税が手段として使われることは今後十分考えられます。税の三大原則である「公平」「中立」「簡素」を踏まえて、税制のあり方について今一度考えてみてはいかがでしょうか。

 

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