安藤税理士法人の加藤です。平成30年度の税制改正によって今年度も様々な改正が行われました。やはり目玉は特例事業承継税制でしたが、所得拡大促進税制についても判定方法や計算方法が大きく変わりました。
1.大法人
<従来の要件>①~③の要件を満たすこと
①雇用者給与等支給額が基準年度に比べ5%以上増加していること
②雇用者給与等支給額が前年度以上であること
③平均給与等支給額が前年度より2%以上増加していること
<改正後の要件>
①平均給与等支給額が前年度から3%以上増加していること
②国内設備投資額が減価償却費の90%以上であること
今回は適用要件が一新されています。従来の要件の①②を廃止した上で③を2%→3%に引き上げ、設備投資要件が新設されました。
<税額控除>以下の①②のいずれか少ない金額
①税額基準額・・・給与等支給増加額×15%
→以下の要件に該当する場合には20%
◎教育訓練費≧比較教育訓練費×120%
②税額控除限度額・・・法人税額×20%
2.中小企業者等
<従来の要件>①~③の要件を満たすこと
①雇用者給与等支給額が基準年度に比べ3%以上増加していること
②雇用者給与等支給額が前年度以上であること
③平均給与等支給額が前年度を超えていること
<改正後の要件>
①平均給与等支給額が前年度から1.5%以上増加していること
中小企業者等の場合には設備投資要件はありません。要件①②が廃止され、③の要件が引き上げられているのは大法人と同様です。
<税額控除>以下の①②のいずれか少ない金額
①税額基準額・・・給与等支給増加額×15%
→以下の要件を満たす場合には25%
◎要件①が2.5%以上であること
◎教育訓練費が前年比110%以上又は経営力向上計画の認定を受けることのいずれか
②税額控除限度額・・・法人税額×20%
この改正は平成30年4月1日~平成33年3月31日までに開始する事業年度が適用時期となっています。設備投資の要件が新たに加わったとはいえ、基準事業年度の給与要件が撤廃されたため、従来は適用を受けられなかった法人も控除を受けられる可能性が出てきます。適用が受けられる場合のインパクトが大きくなりましたので、賃上げや設備投資を積極的に行う法人は必ず検討をする必要があります。以前とは異なり、設立1期目の会社には適用出来ないことにご注意下さい。