経営をしていると、「なんとなくの感覚」で判断してしまうことがあります。たとえば、「今月は忙しかったから売上も好調なはず」「このくらいの支出なら問題ない」といった具合です。しかし、実際には売上が上がっていても利益が減っていたり、現金が不足していたりすることも少なくありません。
また、会計業務を税理士やスタッフに任せきりで、自社の数字をしっかり見ていないという方も多くいらっしゃいます。もちろん、任せること自体は悪いことではありませんが、最低限の数字を自分でも把握しておくことが、経営判断の精度を大きく左右します。
数字が苦手な方でも大丈夫です。まずは簡単な習慣を取り入れることで、少しずつ“数字に強い経営者”に近づくことができます。ここでは、特におすすめのシンプルな習慣を5つご紹介します。
① 1日5分、入出金を確認する
スマートフォンの銀行アプリやクラウド会計ソフトなどで、毎日の入金・出金をざっと見る習慣をつけましょう。金額の大小ではなく、「お金がどう動いたか」に目を向けるだけでも、感覚経営から一歩抜け出せます。
② 「売上」よりも「粗利」に注目する
売上が高くても、原価や外注費がかさんでいれば利益は残りません。大切なのは、経費を引いたあとの「粗利」に注目すること。ここを見誤ると、忙しいのに儲からないという悪循環に陥ってしまいます。
③ 月1回、紙にお金の流れをまとめてみる
Excelが苦手でも大丈夫。売上・経費・手元資金をノートに書き出してみましょう。視覚化することで、自分のお金の動きが「見える化」され、思わぬ課題に気づくこともあります。
④ 数字の意味を“会話”で理解する
税理士や経理担当者と、「この数字は何を意味しているのか?」といった対話を重ねることも大切です。聞くことに遠慮はいりません。会話を通じて、自分の中に数字の感覚が少しずつ育っていきます。
⑤ 「使えるお金はいくらか?」を常に意識する
売上や口座残高ではなく、「実際に自由に使えるお金」がどれくらいあるのかを意識しましょう。資金繰りの見通しが立てば、不安が減り、経営判断もスムーズになります。
数字に向き合うことは、経営をラクにし、スピード感ある意思決定を可能にします。そして、数字を把握している経営者は、社員や外部との信頼関係も築きやすくなります。
完璧を目指す必要はありません。まずは「無関心にならないこと」から始めましょう。小さな習慣の積み重ねが、経営を大きく変えていきます。