インボイス制度 免税事業者の選択と経過措置

◆免税事業者はインボイスで選択を迫られる
 令和5年10月開始のインボイス制度は、免税事業者の方に選択を迫ります。免税事業者のままでいた場合、今まで認められていた取引相手の仕入税額控除が減ってしまう可能性があるからです。

◆課税形態によって異なる取引相手への影響
 では、実際どんな取引相手に影響があるのかを見てみましょう。
①自分が免税事業者、相手も免税事業者
 お互い消費税の納税義務が免除されているので、影響はありません。また、取引相手が消費者の場合も、仕入税額控除を行わないため、影響はありません。
②自分が免税事業者、相手が簡易課税制度適用の課税事業者
 簡易課税制度は「みなし仕入れ率」で売上に係る消費税額から控除を行うため、適格請求書を発行していない免税事業者相手でも影響はありません。
③自分が免税事業者、相手が課税事業者
 簡易課税制度でない課税事業者は、令和5年10月以降は適格請求書がなければ、仕入税額控除ができません。ただし、令和5年10月から最初の3年間は免税事業者の請求する消費税額の80%、次の3年間は50%を仕入税額控除可能です。
 つまり、③の場合は経過措置の適用があっても、取引先は今までよりも仕入税額控除額が減り、消費税納税額が増えるため、免税事業者との取引については購入価格の実質的な値上がりが起きてしまうのです。

◆課税事業者になるか、ならないか?
 免税事業者が課税事業者になり、適格請求書発行事業者登録をすれば、課税事業者の取引先との関係は継続しやすいでしょうが、消費税の納税義務が発生するため、現状の売上のままだと利益は減少します。
 逆に免税事業者のままでいると、取引先の仕入税額控除が減るため、関係に影響が出る可能性があります。また、免税事業者が消費税を請求して受け取る権利はあるものの、あえて消費税を含まない請求に変更した場合は、現状より利益は減少します。
 免税事業者の方は、経過期間の80%・50%の仕入税額控除、取引先の状況、取引先との関係値等、様々な要因を加味して、いつから適格請求書発行登録をするのか、はたまたしないのかを決めることになります。価格改定の話をしなければならないケースも出てくるのではないでしょうか。

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クラウド勤怠管理システムの導入注意点

◆導入進むクラウド勤怠管理システム
 働き方改革の推進やコロナ禍でもデジタル化が進み、労働時間の把握を重要視する動きは大きくなっています。勤怠管理もデジタルに変更するところが増え、中でもクラウド勤怠管理システムの導入が増えています。しかしシステムを導入したのに運用がうまくいかない事例もよく耳にします。その原因は何か、勤怠管理システムを軌道に乗せるにはどうするといいか、導入成功の秘訣を考えます。

◆システム導入を事業の発展につなげる
 勤怠の見える化、給与計算などの勤怠集計は、クラウド勤怠システムの導入で飛躍的に改善されるでしょう。しかし導入前に最重要なことがあります。それは経営者の方がシステム導入で会社の生産性や働く環境、待遇の向上等をよくしていこうという強い気持ちです。その上で行わないと浸透しないことが多々あります。
 従業員に研修等で打刻の方法だけでなく、打刻漏れをなくし、労働時間を正確に記録する重要性について伝えます。注意すべきは打刻漏れが度々あると正しい管理ができないことです。業務が終了しても打刻をせず会社に残っている社員、退勤の打刻をしているのに会社に残っている社員等には適正な打刻をするための指導が必要です。パソコンのログイン、ログアウト、職場の入退場記録等とも併せて事実と異なることがないかみてみましょう。

◆打刻漏れを防ぐには
 打刻漏れ、打刻間違いをしたときの対処の仕方も教えておき放置されないようにします。また、困ったときのサポート担当者に連絡できる体制も必要でしょう。
 物理的に事業場への入退場で記録されるシステムもありますし、パソコンのオンオフに連動しているものもあります。
また、心理的な対策としての就業規則に打刻ルールを載せ、「正当な理由のない打刻漏れ」で守らない時は懲戒、人事考課査定の減点等も考えられます。なかなか打刻が徹底しない場合、放置すると失敗の大きな原因となりえるのです。

◆システム導入でもう1つ大事なこと
 システムは会社のニーズに合うことが大事でどのような勤怠管理をしたいのか、その上でどのような機能が必要か、操作マニュアルは公開されているか、チャット、メール、電話などで質問できるのか、サポートは有料か等も調べておくことが必要です。

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一括償却資産

◆一括償却資産とは
 パソコンなどの器具及び備品その他減価償却資産を取得した際に、取得価額が30万円未満の少額である場合には、法定耐用年数より短い期間で損金(法人税)・必要経費(所得税)(以下、“経費”とします)にできる規定があります。
(1)10万円未満の場合は消耗品等として取得時に全額経費となります。
(2)10万円以上20万円未満の場合は、一括償却資産として3年間の定額償却にできます。※下記(3)の選択も可能です。
(3)10万円以上30万円未満の場合は、300万円を限度として全額経費にできます。ただし、これは中小企業等のみに適用です。
 取得価額10万円以上20万円未満の資産で耐用年数よりも短い期間で経費にできるのが「一括償却資産」です。この制度は中小企業等以外の法人も使えます。金額の上限もありません。

◆一括償却資産のメリットとデメリット
 一括償却資産のメリットは、3年での定額償却ですので、個々の資産の本来の法定耐用年数の確認をする必要がなくなります。また、本来の耐用年数よりも早く経費にすることができます。さらに、一括償却資産は償却資産税の申告対象から外れますので固定資産税が掛かりません。
 一方のデメリットとしては、3年の償却期間中に資産を滅失・譲渡した場合でも、未償却額残高を損金算入することができないことがあります。すなわち、減価償却を打ち切れないため、帳簿からその資産を取り除く処理ができません。

◆途中で売却や除却をしても償却期間は3年
 資産を売却したり除却した場合には、通常は、その資産の帳簿価額(=取得価額からそれまでの減価償却費を控除した残額)を売却原価もしくは除却損として計上します。しかしながら、一括償却資産としたものに対してこの処理をするのは間違いとなります。その資産がなくなったとしても会社の帳簿上には未償却の残額が残り、あくまでも36か月(3年)かけて経費にすることになります。
 ただし、会社が解散して清算に入り、残余財産が確定した場合には、残余財産の確定の日の属する事業年度終了の時における一括償却資産の金額が事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することとなります。残余財産が確定するとその先はありませんから3年縛りは適用されません。

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交際費と社内飲食費

◆交際費制度はそのまま延長
 令和4年度税制改正で、交際費の損金不算入制度および接待飲食費に係る特例については令和2年度の改正内容を踏襲し、そのまま2年間延長することとなりました。

①支出する交際費等の額のうち接待飲食費(1人当たり5,000円を超える分)の額の50%相当額は損金算入
②資本金又は出資金の額が1億円以下の中小企業は支出する交際費の額のうち年800万円までは損金算入
※中小企業はどちらかを選択適用

◆飲食費は社内・社外で対応が異なる
 資本金1億円超の企業であっても、社外への接待飲食費については1人当たり5,000円以下の飲食であれば税務上交際費に含めず、全額を損金にできます。また、自社の役員・従業員・親族に対する接待等のために支出するものは、5,000円以下であっても交際費に該当します。ただし、社内の「(参加の可否はともかく)社員全員を対象とした忘年会等」の飲食費については、社会通念上妥当な金額であれば、福利厚生費として扱います。
 「社内飲食費」なのかが微妙な判定も、国税庁のQ&Aで例示されています。親会社の役員や、グループ内の他社の役員等に対する飲食費、同業者同士の懇親会等で支出する自己負担分の飲食費については、「社内飲食費」には該当しません。こういった場合は1人当たり5,000円以下であれば税務上交際費には該当せず、全額損金算入が可能です。

◆では、出向者の飲食費はどうなる?
 出向者の場合は、その出向者が出向先法人の立場で飲食等の場に出席したか、出向元法人の立場で出席したかにより、判断することになります。
 例えば、親会社からの出向者が出向先の子会社の役員等を接待する会合に、子会社の役員等の立場で出席しているような場合に支払う飲食代は、「社内飲食費」には該当しません。他方、出向者が親会社の懇親会の席に、あくまで親会社の社員等の立場で出席しているような場合に支払う飲食代は、社内飲食費に該当することとなります。

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消費税 課税事業者・免税事業者どっちが得

◆課税事業者とは
 免除された事業者以外のすべての事業者(個人・法人を問いません)が消費税の課税事業者です。法律の作り方は、漏れがあってはなりませんから、まずすべての事業者を対象に課税すると規定しています。そして次の事業者は納税を免除すると規定しています。

◆免税事業者(いわゆる非課税事業者)とは
 基準期間の課税売上高が1千万円以下の事業者としています。基準期間とは個人で言えば2年前、法人で言えば2期前の1年間です。
 課税売上高とは、法律で非課税とされる売上以外の資産の譲渡や役務の提供すべてです。実際は、更に特定期間等細かい規定がありますのでご留意ください。
 また、免税事業者でも課税事業者を選択することはできます。

◆インボイス制度が始まると
 課税事業者は「適格請求書発行事業者」として登録され、登録番号が付与され、請求書や領収書にこの登録番号を記載し幾ら消費税を預かったかを明確にします。
 免税事業者は実質消費税をもらっていないこととなります。

◆お金はどちらが多く残るか?
 法人で売上1,000円 仕入500円 消費税10%での比較です。
・課税事業者(適格請求書発行事業者)
売上1,000+売上消費税100-仕入500-仕入消費税50-納付消費税50-法人税30%150=350
・免税事業者
消費税をもらわなかった場合
売上1,000-仕入500-仕入消費税50-法人税30%135=315
消費税をもらった場合
売上1,000+売上消費税100-仕入500-仕入消費税50-法人税30%165=385

 免税事業者で消費税をもらった場合が一番お金が残ります。しかし消費税をもらえないと課税事業者よりお金は残りません。
 置かれた立場と顧客を考えて慎重な判断が必要です。

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消費税不正還付の対応強化へ

国税庁はこのほど、「消費税還付申告に関する当局の対応について」とする文書を公表し、消費税の申告から還付まで時間がかかるケースがあることに対して理解と協力を求めました。背景には、後を絶たない悪質な不正還付への対応を強化していく方針があるとみられます。

 消費税は、仕入れ時に支払った消費税と、売上時に受け取った消費税を通算し、年間を通して売上時に受け取った額のほうが多ければ差額分を納税し、逆に仕入れ時に支払った額のほうが多ければ還付を受ける仕組み。その不正還付とはすなわち、仕入れ時に支払った消費税額を実際より多く申告することで、高額な還付金を受け取る行為を意味します。

 たびたびの増税で消費税率が10%となり、不正還付による〝旨味〟は増しつつあります。それに伴い不正還付も後を絶たない状況です。

 当局は不正還付を「国庫金の詐取」だとして厳しく調査をしていますが、年間20万件にも及ぶ還付申告のすべてを精査するのは難しく、審査に時間をかけざるを得ません。こうした状況のもと国税庁がこのほど公表した文書では、「取引等の相手方と連絡が取れないことなどにより取引の実態の確認が困難である場合や、取引に係る金銭授受の事実確認が困難である場合、輸出等に係る証拠書類が適切に保管されていない場合などにおいては、それらの確認に時間を要し、還付を保留する期間が長期にわたる」と釈明。「還付税額が過大と認められる事由がないことが判明した場合には、遅滞なく還付を行うこととしています」として、納税者に理解と協力を求めました。

 当局にとっても、還付が遅れると納税者に対して還付加算金を支払わなければならず、審査の効率化とスピードアップは喫緊の課題。そこで最新の22年度には、消費税の不正還付に当たる専担ポストとして、「消費税専門官(仮称)」を全国の各国税局、13税務署に置くことをすでに決定しています。今後さらに消費税の還付申告に対する調査は厳しさを増しそうです。

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旅費規程で節税対策を!

会社の経理上、出張の際に役員や従業員に日当を支払うことができます。この日当は損金に計上できるため、法人税の節税になり、給与と違い消費税は課税仕入、受け取った個人の所得税は非課税で、社会保険料の対象にもなりません。
そのためには以下の3点は重要です。
・「旅費規程」を作成する。
・その規程額に基づいた支給を行う。
・出張報告書など客観的な出張の証拠を残す。
また、海外出張の際の出張支度金も必要と認められる範囲であれば経理処理が可能です。

ただし、旅費規程が有っても不当に高額な金額は認められません。日当の設定金額は十分にご注意ください。なお、 旅費規程を作成の際は、税理士等専門家にご相談ください。

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税金滞納、その後は?

◆税金を滞納するとどうなるの?
 税金を滞納すると、特別な手続きを行わなければ、税務署などから催促を受けることになります。それでも税金を払わない場合は財産に対して「差押え」が行われます。差し押さえられたものが財産の場合は金銭に換える「換価」が行われ、売却して滞納分の税金に充てられます。

◆督促が必ず行われる
 国税については原則納期限から50日以内に督促状が送られてくることになっています。地方税については納期限から20日以内と定められています。
 この督促状を発行した日から10日以内に税金を完納しないと財産を差し押さえられることになります。

◆差押調書と差押え
 差押えは、滞納者の元に差押調書という書面が送られてきます。差押調書には滞納している税金の金額と、滞納者の財産を差し押さえた旨、どの財産が差し押さえられたのか等が記載されています。
 差し押さえられるものは「第三者の権利を害することが少ない財産、滞納者の生活に支障が少ない財産、換金性の高い財産、保管や引き揚げに便利な財産」を優先するようになっています。

◆換価と配当
 差し押さえられた財産を金銭に換える処分を経て、滞納分の税金に充てられます。
 滞納している税金よりも、差押財産の代金が高かった場合は、「配当」として滞納者に支払われます。

◆納税や換価は猶予を願い出ることができる
 どうしても税金を払えない事情がある場合は、納税の猶予や換価の猶予制度の利用を検討しましょう。この申請をすることによって分割での納税や延滞税の税率軽減、財産についての差押えや換価処分を猶予してもらえたりします。
 税金は期日までに払わないと延滞税がかかったり、差押えが発生して面倒なことになったりします。きちんと納付できるのならば、それに越したことはありません。

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事業復活支援金の申請は5/31まで、お忘れなく!

新型コロナウイルス感染症で、大きな影響(コロナ前と比べて売上が30%以上減っている)を受けている事業者に対し、事業規模に応じて給付金が支払われます。申請の締め切りは、5月31日です。3月の売上がでるまで見極める、というような事業者の方も多かったと思いますが、忘れないよう申請してください。

【給付対象】
①新型コロナウイルス感染症の影響を受けた事業者が対象
②2021年11月~2022年3月の間のいずれかの月(対象月)の売上高が、2018年11月~2021年3月までの同じ月(基準月)の売上高と比べて50%以上、または30%以上50%未満減少した事業者

【給付額】
給付額 = 基準期間の売上高 ― 対象月の売上高×5

■基準期間の考え方
「2018年11月~2019年3月」、「2019年11月~2020年3月」、「2020年11月~2021年3月」のいずれかの期間 (売上高の比較に用いた月(基準月)を含む期間であること)

■対象月
2021年11月~2022年3月のいずれかの月
(基準期間の同じ月と比べて、売上が50%以上、または30%以上50%未満、減った月であること)

給付上限額は、年間の売上高によって変わります。これは基準月を含む年度なので以下の中から一番、売上の高い年度を選ぶことで最大の給付上限額になります。
①2018年11月~2019年3月②2019年11月~2020年3月③2020年11月~2021年3月
コロナ前の売上が最も高い場合①を選ばれるパターンが多いのではないでしょうか。売上高減少率も影響するので4年間の売上比較をしてシミュレーションが必要です。

事業復活支援金の申請は、5月31日までです。申請忘れのないように準備しましょう!

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令和4年度の雇用保険料率2段階引き上げ

◆2段階で引き上げ改定される雇用保険料

 新型コロナの影響が続く中、おととしの2月からこれまでの雇用調整助成金等の支給額は5兆円を超えていて雇用保険の財源不足が課題となっています。厚労省の審議会で議論されてきましたが、雇用保険料改定が決まりました。それによると労使折半で賃金の0.2%を負担している失業給付などを支払う事業の保険料率は4月から半年据え置き、10月から3月まで0.6%上げるとしています。一般の事業では労使で4月~9月1000分の9.5、10月~3月は1000分の13.5となります。4月の時点では労働者の給与から控除される保険料は変更ありません。

◆改定の内訳と流れ

 雇用保険料は労使が負担する雇用保険料や国庫負担などで賄われています。雇用保険料の中身は失業給付(労使折半)、育児休業給付(労使折半)、雇用二事業(事業主負担、助成金や教育訓練に充てる)で構成されています。 今までは積立金が一定水準を超えていたことで労働者0.3%、事業主0.6%と原則より低い負担で抑えられてきましたがコロナ禍で積立金が枯渇してきています。

 令和4年度の失業負担分は4月には据え置かれますが10月には0.6になります。また、育児休業給付に係る保険料率は年間通し0.4%のまま据え置かれます。

 一方、事業主のみが負担する「雇用保険二事業」の料率は4月から0.3%から0.35%に上がります。その結果事業主負担は全体で0.65%になります。

◆料率改定事務 変更分はいつから

 今のところの予想ですが、令和4年度の労働保険概算確定申告時に令和4年度の概算額として事業主負担の二事業の引き上げ分を乗せます。また、10月からの料率改定の分は10月以降の概算賃金額に引き上げられる新料率をかけて保険料の概算額を出し、前半分と後半分を足して1年間の概算額とします。詳しくは令和4年度の労働保険料の計算方法が発表されてから確認することとなります。

 各労働者の給与からの雇用保険料率の徴収額が上がるのは令和4年10月分給与からです。

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