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2026.1.30
財務改善・財務分析
利益は出てるのに通帳が増えない理由|利益とキャッシュがズレる原因と対策

年商3億規模のサービス業・製造業でも、こんな声は珍しくありません。
「決算は黒字。なのに、通帳が増えない。むしろ不安が増える…」

結論から言うと、利益(PL)とキャッシュ(通帳残高)は、そもそも別物です。
この記事では「ズレの正体」を7パターンに分解し、月次で“通帳が増える経営”に近づく見方まで整理します。


利益とキャッシュは別物|PL黒字でも通帳は増えません

利益は成績、キャッシュは体力。黒字でも一致しないのが普通です。

利益(損益)とキャッシュ(現預金)の違い

  • 利益(PL):一定期間の「儲かった度合い(成績表)」

  • キャッシュ(通帳):いま手元にある「お金(体力)」

PLは「売上が立った」「費用が発生した」をベースに計算されます。
でも通帳は「入金された」「出金した」がすべて。
だから、売上が立っても未入金なら通帳は増えないし、借入返済をすると利益に出なくても通帳は減るわけです。

なぜ社長ほど“黒字なのに不安”になるのか(現場の感覚)

社長の頭の中は、いつもこうです。

  • 来月の支払いは大丈夫か

  • 賞与・税金・社会保険…いくら出ていく?

  • 設備の更新が来たら耐えられる?

つまり社長が見ているのは「利益」より**“体力(現金)”**。
ここを同じものとして扱うと、判断が感覚になり、疲弊しやすくなります。


通帳が増えない“典型7パターン”|ズレの正体はここ

増えない原因は売掛金・在庫・投資・返済などに必ず分解できます。

まずは「通帳が増えない」を、よくある7つに分けます。
当てはまるものが“あなたのズレ型”です。

7パターン早見表(症状→確認→打ち手)

パターン ありがちな症状 まず確認する数字 代表的な打ち手
1 売掛金が増えている 売上は好調なのに残高が薄い 売掛金残高・回収サイト 請求締め/発行の前倒し、回収ルール化
2 在庫が増えている 倉庫がパンパン、現金がない 棚卸資産の増減 滞留在庫の処分、発注基準の見直し
3 投資が先行 設備更新・修繕が続く 固定資産増・支出予定 投資の優先順位、回収期間で判断
4 借入返済(元本) 黒字でも返済で減る 返済予定表・元本返済額 返済余力の見える化、条件見直し
5 納税・消費税 決算後にドンと減る 予定税額・消費税見込 月次で取り分け、着地予測の早期化
6 季節変動(賞与等) 特定月だけ急に苦しい 賞与・社保・外注支払 年間カレンダー化、積立ルール
7 役員貸付・仮払 よく分からない流出がある 仮払金・立替金の増減 精算期限、運用ルール、可視化

ポイント:「原因を7つに分解する」だけで、資金繰りの不安は半分整理できます。
不安の正体が「見えない」ことにあるからです。


1分セルフ診断|どの“ズレ型”かを特定する見方

PLだけ見ず、売掛金・在庫・借入返済の増減を確認します。

見る順番は「現預金→売掛金→棚卸→買掛金→借入」

月次で見る順番を固定すると、判断が速くなります。

  1. 現預金:先月より増えた?減った?

  2. 売掛金:売上の割に増えていない?(回収遅れの疑い)

  3. 棚卸資産(在庫):増えていない?(現金が棚に寝ている)

  4. 買掛金:支払を先延ばししていない?(一時的に楽でも反動が来る)

  5. 借入金:元本返済の負担はどれくらい?

  6. 仮払・立替・役員貸付:見えにくい流出がない?

“増えたら危険サイン”の勘所(社長が押さえる最低限)

  • 売掛金が売上の伸び以上に増える → 回収サイトが伸びている可能性

  • 在庫がじわじわ増える → 利益は出ても現金化されない

  • 仮払・立替が増える → お金の行方が不明確になりがち

  • 返済元本が重い → 黒字でも“体力”が削られる

ここまでで、「なぜ通帳が増えないか」を社長自身が説明できる状態になります。
次は、ズレ別の“処方箋”です。


月次で改善する打ち手|ズレ別の処方箋

回収・在庫・投資・返済を月次ルール化すると資金は残ります。

売掛金(回収が遅い)への処方箋

  • 請求書の締め日・発行日を前倒しできないか

  • 入金予定を「人」ではなく仕組みで管理(一覧化)

  • 一定日数超の未入金は定型の督促フロー(電話→メール→文書など)

在庫(現金が棚に寝る)への処方箋

  • 滞留在庫を定義(例:3か月、6か月動きなし等)

  • 滞留在庫は「値下げ・セット・廃棄」も含め現金化を優先

  • 発注は“勘”ではなく、回転日数や最低在庫で基準化

投資(先行支出)への処方箋

投資判断は「欲しい」ではなく、次の3点で整理するとブレにくいです。

  • 回収期間(何年で回収?)

  • 優先順位(今やる理由)

  • 資金余力(投資後も安全?)

返済(元本)が重いへの処方箋

  • 月次で見るべきは「利息」より元本返済の総額

  • 返済負担が重いなら、金融機関との対話材料として
    “返済余力(どれだけ返せるか)”の見える化が効きます

税金(特に消費税)の処方箋(一般論)

  • 「決算後に用意」では遅いことがあるため、
    月次で**納税分を“取り分け”**する運用が安心です
    ※個別の税額・可否は状況により異なるため、具体は要相談。


決算前にやると効く3つ|黒字倒産リスクを下げる

決算前の手当てで、納税・資金繰りの事故を減らせます。

  1. 決算着地(利益・税額・資金)の早期予測
    「利益は出そう」ではなく、納税後の残高イメージまで持つ。

  2. 資金繰り表と月次の接続(先読みの習慣)
    売上が伸びる局面ほど、売掛・在庫で現金が吸われます。
    月次で“ズレ”が見えると、資金繰り表が現実的になります。

  3. “節税より先に守るべきもの”の整理
    節税は大事ですが、優先順位は
    資金ショート回避 → 返済継続 → 投資判断 → 税務最適化
    の順で考えるとブレにくいです。


数字が苦手でも回る仕組み|月次で“意思決定できる資料”にする

判断に使える月次資料があれば、通帳の不安は整理して前に進めます。

ありがちな月次試算表の落とし穴(見ても動けない)

  • どこを見ればいいか分からない

  • PLだけ見て、売掛・在庫・返済が抜ける

  • 会議が「確認」で終わり、次の一手が決まらない

ANDO式月次決算書で「ズレ」を見える化する考え方

安藤税理士法人は、税務だけでなく財務×意思決定の伴走を重視しています。
「通帳が増えない」を、社長が判断できる形に翻訳するのがANDO式月次決算書の狙いです。
さらに、セカンドオピニオンとして「顧問税理士は変えずに」相談することも可能です。

月次ミーティングで“次の一手”まで決める流れ

おすすめの型はシンプルです。

  • ① ズレの原因は何か(7パターンで特定)

  • ② 今月やる打ち手を1〜3個に絞る

  • ③ 数字で確認する指標を決める(売掛回収日数、在庫回転など)

  • ④ 次回までの担当・期限を決める

これだけで、月次が「作業」から「意思決定」に変わります。


よくある質問(FAQ)

Q1. 黒字倒産って本当に起こるの?どんなとき?
A. 起こります。典型は、売上増で売掛金・在庫が増え、入金より支払いが先行するケースです。

Q2. 借入返済はなぜ利益に出ないの?
A. 元本返済は「借金を減らす取引」で、費用(PL)ではなく貸借(BS)上の動きだからです。ただし通帳からは出ていきます。

Q3. 売上が伸びるほど資金繰りが苦しくなるのはなぜ?
A. 売掛金や在庫が増えやすく、現金化までの時間が伸びるからです。成長期ほど“体力管理”が必要です。

Q4. 消費税の納税資金はいつから準備すべき?
A. 一般論として、月次で「取り分け」を始めると安心です。具体的な金額や方法は状況で変わるため、個別相談が確実です。

Q5. 月次で最低限チェックすべき数字は?
A. 現預金、売掛金、棚卸資産、買掛金、借入返済予定、仮払・立替の増減です。

Q6. 顧問税理士がいても資金繰り相談はできる?
A. 可能です。安藤税理士法人ではセカンドオピニオンとして、税理士を変更せず相談する形も用意しています。


まとめ

  • 利益=成績、キャッシュ=体力で、ズレるのが普通

  • 通帳が増えない原因は、まず7パターンに分解できる

  • 月次は「確認」ではなく、ズレ特定→打ち手→指標→担当期限で回す

  • 決算前に着地予測を入れると、納税・資金繰りの事故が減る


最後に

「通帳が増えない」は、社長の能力不足ではありません。
**見方(分解)と、月次の型(意思決定の仕組み)**がまだ整っていないだけです。

もし今、

  • どのズレ型か社内で特定できない

  • 月次を見ても打ち手が決まらない

  • 顧問税理士はいるが、資金や経営の相談が進まない

…という状態なら、ANDO式月次決算書で「判断できる数字」に整えるところから一緒に始められます。
また、まずはセカンドオピニオンとして“変えずに相談”も可能です。

安藤税理士法人(愛知県小牧市/オンライン対応可)
TEL:0568-73-4446/MAIL:andotax.com@gmail.com
お問い合わせ:WEBフォーム(公式サイトより)


執筆者紹介

  • 執筆/監修:安藤 尚志(税理士/代表社員)

  • 事務所:安藤税理士法人(〒485-0048 愛知県小牧市間々本町277番地)

  • 強み:税務に加え、財務×経営計画×未来会計の伴走支援

  • 主要サービス:ANDO式月次決算書/セカンドオピニオン(ほか:ANDO式経営計画書、社長の成績表、ワンデイ合宿)

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