分掌変更と役員退職金

安藤税理士法人の土屋です。事業継承などを理由として、役員の地位や職務内容が大きく変わることがあります。これを分掌変更と言います。分掌変更によって役員を退任する際、役員退職金が支給されることも多いです。役員退職金は金額も大きく、節税効果が非常に高いのですが、必ずしも退職金とは認められないので注意が必要です。

今回は分掌変更に伴う役員退職金の取り扱いについて見てみます。

役員が完全に退職する場合は全く問題ありません。事業への従事期間等を鑑みて相当と認められる支給額であれば、退職金として扱われます。

では、退任後も会社に残る場合はどうなるでしょうか?例えば、代表取締役が非常勤の監査役となり、大幅に減額した役員報酬を受給する、というようなケースです。

このような分掌変更での役員退職金で重要になるのが、「実質的に退職と同じ状況」かどうかです。税法上、分掌変更による退職であることの判断は、以下の3点が基準になります。

  • 常勤から非常勤になったこと
  • 取締役から監査役になったこと
  • 分掌変更後の役員報酬がおおむね50%以上減少したこと

ただしいずれの場合でも、分掌変更後も実質的に会社の経営上主要な地位であれば、「退職と同じ状況」とは見なされません。具体的には、例えば以下のような実情があれば、退職とは認められない可能性が高いです。

  • 一定以上の株式を所有し、会社経営の決定権を持っている。
  • 採用や賞与の査定など、人事の決定権を持っている。
  • 銀行融資の交渉に参加している。
  • 取締役を退任後も、取締役の名刺を配っている。
  • 代表取締役を退任したことを得意先が知らない。
  • 新代表者が入社して日が浅く、明らかに前代表者と同等の経営ができない。

役員退職金が税務上否認されると、役員賞与として処理され、結果的に多額の法人税と所得税が掛かってしまいます。肩書だけの形式的な引退とならないよう、十分な引き継ぎを行うことが大切です。

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