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2015.6.1
スタッフブログ
短期前払費用の取り扱い

安藤税理士法人の加藤です。法人が翌期の経費を当期に支払った場合は、前払費用として当期の損益計算には含めずに資産に計上するのが原則とされています。

しかし、「法人が前払費用の額で支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入しているときは、これを認める。」とされる特例が設けられています。

これを短期前払費用といいますが、その適用を受けるにあたって重要な要件を見ていきます。

・「支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るもの」

例えば3月決算の法人が毎年3月末に翌4月から3月分の地代を前払いしている場合は上記の要件を満たしますが、上記の地代を2月末に支払うものとされている場合には支払った日(当期の2月末)から役務の提供を受ける末日(翌期の3月末)までの期間が1年を超えてしまうため適用を受けることができません。

さらに2年分をまとめて支払うなど、1年分を超える場合は資産計上されます。

・「継続してその支払った日の属する事業年度の損金の額に算入している」

一度この適用を受けることとなったら、毎期継続して同じ経理処理をすることが要求されています。年度によって月払いにしたり年払いにしたりなどの変更をすることは認められません。

その他に、

・当期中に支払がされていること

・等質、等量のサービスの対価であること

などが要件とされています。

この取扱の具体的な例には地代家賃、保険料、賃借料、会費、信用保証料、支払利息などが挙げられますが、借入金を預金や有価証券などに運用する場合の借入金利子(費用)は、預金利息などの収益と直接対応させる必要があるため除外されます。

いわゆる節税対策の一つとして使われることが多いですが意外と要件が細かいので支払ばかりが先行して肝心の節税にならず、手持ちのキャッシュだけが減っていってしまう、なんてことのないように注意をしていただきたいと思います。

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